雅楽とは
~悠久の音色を奏でる世界~
仏教と雅楽の関りはとても古く、仏教の法要で舞楽や管絃が演奏されます。
長い歴史の中で、声明(仏教における声楽)も、雅楽の影響を大きく受けて発展してきました。
雅楽の歴史は、大変古く1400年以上の歴史を持ち、日本の古典音楽として発展してきました。
仏教伝来の飛鳥時代から平安時代に、日本古来の音楽・舞踊と中国・朝鮮半島から伝えられた音楽・舞が融合し、平安時代に日本独自の声楽・雅楽に発展していきました。
雅楽という極楽
「雅楽」と聞いて、どのようなイメージを持たれていますか?
宮中や神社をイメージされる方が多いと思いますが、でも“実は”今から1400年前、仏教と共に日本に伝わりました。日本において、お寺では仏様を讃える音楽、すなわち「極楽浄土の音楽」として用いられてきたのです。
お釈迦様が説かれた「仏説阿弥陀経」には極楽浄土の様子が説かれています。池には色々な色の蓮の花が咲き、良い香りを放っています。池の底は黄金の砂で覆われており、自然や建物は黄金や七宝で出来ています。妙なる音楽が流れ、色々な鳥が美しい声で鳴いています。鳥のさえずりや、水や風の音はそのまま説法となり、極楽浄土の人々はそれを聞いて仏を念じます。
それを浄土真宗の宗祖、親鸞聖人は「清風宝樹をふくときは いつつの音声いだしつつ 宮商和して自然なり 清浄勲を礼すべし」(浄土和賛 讃弥陀偈讃)とお示しになられています。「宮・商」とは、東洋音楽の5つの音階の中に2つで、それらの音は互いにぶつかり合い決して共鳴する事がないものが、極楽浄土においては互いに協和して自然に響き合いすばらしい和音を奏でるのです。私たちが生活しいるこの世界では、自分の音(心)と相手の音(心)がぶつかり合って、悩み苦しんでいることが度々あるのではないでしょうか?
浄土真宗においての雅楽は、自分の音と相手の音がぶつかり合うことなく響き合っている世界、極楽浄土を想わせていただくための音楽です。
雅楽の楽器
雅楽は、「管絃」「舞楽」「歌謡」の三つの表現があり、「管絃」では笙、篳篥、龍笛の管楽器、琵琶、箏の絃楽器、太鼓、鞨鼓、鉦鼓の打楽器で構成されます。
-
鳳笙
和音を中心とする楽器で15の音階を出すことができます。
吹く前、吹いた後には頭を火鉢などで人肌に温め、吹く前に蜜蝋をやわらかくし、音を出やすいようにします。吹いた後には吹き込んだ息が水滴になって笙に溜まらないように乾かさなくてはなりません。
竹管が17本あるのに、なぜか2本鳴りません。吹いても吸っても音が出ます。 -
篳篥
主旋律を奏でます。大きさは一番小さく、音は一番大きく、音域は1オクターブ程度。滑らかな音の移動が特徴です。
吹く前に芦舌をお湯につけることにより、芦舌が開き、音が出るようになります。 -
龍笛
主旋律を彩る働きをします。音域は2オクターブ。笛の安定を出す為と、音をよく響かせるために頭に鉛が入っています。ほとんどの曲は龍笛の演奏で始まります。
-
鞨鼓
2本の桴を使って、両方の鼓面を叩いて演奏します。開始や終わりの合図を出すほか、打ち方によって曲に緩急をつけていく、いわば演奏の流れや曲のテンポを整える指揮者のような役割を担います。
-
楽太鼓
別名、釣太鼓ともいわれ、木製の芯に革を巻いた桴を両手に持って打ち鳴らします。革面には、唐獅子、鳳凰、三つ巴などの絵柄が色彩豊かに描かれています。
-
鉦鼓
釣り枠につるされた皿型の凹面を、先端の固い二本の桴を用いて擦るように打ちます。非常に髙音であり、合奏においては小さい拍子を伝えるほか、楽太鼓の音を装飾する役割を持ちます。
-
楽筝
雅楽で用いられる13絃の箏。一般的な箏と比べて絃が太く、音色は重厚です。合奏においては楽琵琶と同じくリズムを担う楽器であり、明確な拍子を刻んで、曲の流れを管楽器に伝えます。
-
楽琵琶
雅楽に用いられる琵琶。各地に伝わる琵琶の中で最も大きい。演奏にはしゃもじによく似た撥を用います。楽琵琶の材質は部位により様々な堅さ、性質を持つ木材が合体して使われています。合奏では主にリズム楽器としての役割を担い、演奏の要所で分散和音風を掻き鳴らす。果物の「枇杷」は、琵琶に形状が似ているため、その名が付けられたと言われています。